近年、カスタマーサポートや営業窓口において、チャットボットを導入する企業が増えています。
「24時間対応が可能になる」「担当者の負担を軽減できる」などのメリットが注目されていますが、一方でお客様が満足するサポートを提供しづらいという課題があります。
その大きな原因は、問い合わせをしているお客様の状況を十分に想定できていないこと。
この記事では、見落としがちな落とし穴について解説します。
目次
顧客満足度を下げる、チャットボットの3つの落とし穴
一見スムーズに見えるやり取りの中にも、実際には顧客体験を損なう要因が潜んでいます。
特に以下の3点は、多くの企業が導入後に直面しやすい落とし穴です。
1.お客様の疑問が十分に言語化されず、誤った回答につながるリスク
問い合わせをするお客様の多くは、必ずしも「聞きたいこと」を明確に言語化できているわけではありません。
たとえば、以下のような状況がすべて「請求金額がおかしい」という表現の問い合わせになることがあります。
- お客様が注文内容を忘れている
- お客様が数量を間違えて注文している
- お客様が税抜・税込を勘違いしている
- お客様が明細の見方を理解していない
- お客様が先月の請求書を見てしまっている
- お客様の家族が勝手に注文している
お客様自身も理解していない根本原因を、お客様が提供する曖昧な情報から迅速・的確に探し当てるのはAIチャットボットであっても難しいのが現状です。
その結果、チャットボットが的外れな回答をし、「役に立たない」という不満につながる場合があります。
実際、MMDLaboとPKSHA Technologyが共同で実施した調査によると、非対人の問い合わせ時の不満の1位は「知りたい情報が見つからない」(69.1%)、2位は「検索や回答の精度が低い」(54.4%)となっています。
2. 途中で新たな課題が発生し、対応が滞るリスク
先述のように、お客様は曖昧な状態で問い合わせを行うため、対応の過程で新たな課題が発生することがあります。
たとえば、「請求金額がおかしい」と問い合わせたお客様が「先月の請求書を見ていた」と原因に気づいた後に、「今月の請求書を再発行してほしい」という新たな要望が出てくるケースです。
また、事業規模の拡大に伴いユーザーが増えると、「お客様が他社サービスと勘違いしている」「規約外の使い方をしている」など、自社サービスの通常利用を前提としたシナリオでは対応できない問合せが増加します。
チャットボットとのやり取りに時間を費やした末に「結局は人に聞くしかない」という状況になれば、お客様は時間を無駄にしたと感じてしまいます。
同調査でも、非対人の問い合わせ時の「オペレーターにつなぐ方法が見つからない」という不満は43%に上ります。
3. 感情的なケアが欠如し、顧客体験が損なわれるリスク
問い合わせの場面では、お客様が強い不安や不満を抱えていることも少なくありません。
このときお客様が求めているのは、単なる問題解決だけではなく、以下のような感情面への対応である場合があります。
- 不安を理解してほしい
- 困っている気持ちに共感してほしい
- きちんと謝罪してほしい
しかし、チャットボットではこうした期待に十分に応えることは難しく、「チャットボットしかない」という時点で顧客満足度の低下を招く可能性があります。
お客様の求める答えにたどり着くための導線設計
チャットボットにおいて重要なのは、お客様が求める答えに確実にたどり着ける導線を設計することです。そのためには、利用シーンを具体的に想定し、自然な流れでやり取りが進むようにシナリオを組み立てる必要があります。
また、問い合わせの入口から出口に進む「順方向のシナリオ」だけでなく、最終的な答えや解決方法から逆算して、「その答えに至るまでにどんな質問や分岐があり得るか」を確認する視点も重要です。
順方向では、顧客が実際にたどる流れをシミュレーションし、迷わず目的に到達できるかを検証します。一方、逆方向では「この回答に至るまでにどのような分岐や情報が必要か」を洗い出すことができます。
両方向から設計することで、顧客がどの経路から入ってきてもスムーズに答えに行き着ける導線を整備できるだけでなく、複数の問い合わせに共通する要素を体系的に把握できるようになります。
結果として、個別のQ&Aにとどまらず、全体として最適化されたシナリオ設計が可能になるのです。
最適化されたチャットボット+人で、顧客満足度と商談率が向上
チャットボットは導線設計を工夫することで、お客様が迷わず答えにたどり着ける仕組みを整えられます。しかし、どれだけシナリオを最適化しても、想定外のケースをすべて自動で解決することは不可能です。
ここで大切なのは、最適化されたシナリオをもとに「どのタイミングで人に切り替えるべきか」を明確にすることです。チャットボットがカバーできる範囲と、有人対応が必要な場面を的確に把握することで、シームレスな切り替えが可能になります。
また、
その結果、お客様の満足度は向上し、ホットリードを逃さず商談につなげることが可能になります。
最適化されたチャットボットと人の組み合わせこそが、カスタマーサポートの費用対効果を最大化できるアプローチです。
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VOICHATサポートなら、チャットボットによる自動化と有人接客を柔軟に組み合わせることができます。また、自社のリソースに応じて、一次対応の一部または全部をBPOスタッフに委託できる「有人接客BPOプラン」(356日/9:00~18:00)も選べます。
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